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顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。なお、法律は絶えず改正され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきますし、法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを知っていても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります。ですから、実際に難しい法律問題に直面した場合には、顧問弁護士などの法律問題の専門家に個別にご相談いただくことをお勧めします。
今日のテーマは、転籍についてです。
転籍について、裁判例は、会社が営業部門を独立させて新会社を設立し、労働者に発した転籍命令に従わなかったことを理由とする懲戒解雇は無効と判断しました。以下、判決文の引用です。
転籍出向は出向前の使用者との間の従前の労働契約関係を解消し、出向先の使用者との間に新たな労働契約関係を生ぜしめるものであるから、それが民法六二五条一項にいう使用者による権利の第三者に対する譲渡に該当するかどうかはともかくとしても、労働者にとっては重大な利害が生ずる問題であることは否定し難く、したがって、一方的に使用者の意思のみによって転籍出向を命じ得るとすることは相当でない。
ただ、現代の企業社会においては、労働者側においても、労働契約における人的な関係を重視する考え方は希薄になりつつあり,賃金の高低等客観的な労働条件や使用者(企業)の経済力等のいわば物的な関係を重視する傾向が強まっていることも否定できず、また使用者側においても企業の系列化なくしては円滑な企業活動が困難になり、ひいては企業間の競争に敗れ存続自体が危うくなる場合も稀ではないことからすると、いかなる場合にも転籍出向を命じるには労働者の同意が必要であるとするのが妥当であるか否かについては疑問がないではない。しかしながら、希薄になりつつあるとはいえ労働契約における人的関係の重要性は否定することはできず、また契約締結の自由の存在を否定することができない以上、右のような諸情勢の下にあってもなお、それが常に具体的同意でなければならないかどうかはともかく、少なくとも包括的同意もない場合にまで転籍出向を認めることは、いかに両社間の資本的・人的結びつきが強く、双方の労働条件に差異はないとしても、到底相当とは思われない。
本件の場合においては、両社の間には右物的な関係においても差異がないとまではいい難いうえに、債権者は本件転籍出向につき具体的同意はもちろん包括的な同意もしていなかったのであるから、右同意を得ないでした会社の本件転籍出向命令は無効という外はない。
会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。また、個人の方で、残業代の不払いなど法律問題で相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。
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